マクロな視点から見る日中の経済関係①

 

安保法案をめぐっては中国が日本側の脅威に位置付けられたりと、領土や歴史においても様々な問題のある日中関係だが、マクロな視点から日中の”経済関係”をシリーズで見ていこう。今回は、中国経済の失速と日本への貿易依存度日本企業が感じる中国の魅力とリスクの2点に触れていく。

 

中国経済の失速と日本への貿易依存度

中国は、輸出依存型成長の限界、余剰労働の枯渇、インフラ投資のピークアウト、経済のサービス化の進展、環境制約によるエネルギー多消費型成長の限界、高齢化に伴う経済活力低下といった要因により、高度経済成長から中程度の経済成長に移行しつつある。中国の経済成長が不透明な状況に陥ったことをきっかけに、世界的な景気後退の懸念が高まった。世界第2位の経済大国が失速することになると、各国に様々な影響が出てくる。こういった状況から抜け出し、自国の景気回復を実現するため、中国政府は輸出振興策をとった。

輸出振興策をとる随分前から中国の日本への貿易依存度は低下し続けてきており、中国の輸入における日本のシェアは1995年の22.0%から2013年には9.1%と大幅に低下した。しかし、このことは必ずしも中国から見た日本の重要性が低くなっていることを示唆するわけではない。なぜならば、日本企業はASEANや他の地域を通じて間接的に中国と貿易しており、中国国内では日系企業による直接投資が行われていたからである。

中国の現地法人の数は2001年の約2200社に対し、2012年では7700社に伸び、本社の売り上げに占める現地法人の比率も5%弱から10%近くまで拡大した。アジアの他の地域と比べると、中国の存在は圧倒的に大きい。確かに日本の対外直接投資、対内直接投資の重要な相手国は依然としてアメリカやヨーロッパだが、アジア、特に中国の重要性も高まっている。

 

日本企業が感じる中国の魅力とリスク

日本企業は中国のどこに魅力を感じているのだろうか。最も多いのは「製品の納入先企業が多い」次いで「人件費が安い」であるが、もう1つ注目すべき回答が「消費者の需要の増加」である。2000年から2012年までに、中国のGDPベースの家計最終消費支出は年平均15.1%のペースで拡大してきた。近年は内陸部の消費が拡大しており、中西部の小売売上高が大きく伸び続け、全体に占めるシェアは2000年代半ばから上昇した。

都市部と農村部に分けてみると、農村部の消費が都市部よりも速いペースで拡大していることが分かる。都市内においても、低所得層や中間層の消費拡大が顕著である。2012年の自動車保有率は12人に1台にとどまり、中国の自動車普及はまだ初期段階であるが、今後は自動車に加え、サービス消費が大きく拡大すると予想できる。消費者のニーズは所得水準の上昇に伴い多様化・高度化され、モノに対する質的な要求が高まると同時に、サービスに対する需要が特に大きく拡大するだろう。

しかしリスクとして「人件費の上昇」「法制度・規制・政策の不安定と不透明性」「日中関係の悪化」「中国企業との競争」が挙げられている。5年後のリスクを聞いてもこの傾向はそれほど変わらない。法制度は少し改善することで若干良くなるが、日本企業の多くは特に「人件費の上昇」「中国企業との競争」を大きなリスクとして感じている。それでも、生産規模と生産活動を縮小させる企業は、拡大させる企業に比べて少ない。特に営業活動の拡大を考える企業は非常に多く、中国を拡大する需要先市場として捉えていることが分かる。

 

日本と中国、両国の経済成長に向けて

中国の経済成長に、日本の貢献が欠かせないことは確かである。中国における公害抑制・環境改善、省エネ、エコシティづくり、医療・介護態勢の強化に関わる日本の協力およびノウハウの提供は中国の経済発展に大きい効果をもたらした。これからも日本と中国の両国が経済成長をつづけるためには、さらに積極的な交流が必要である。

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姚 春鵬

姚 春鵬

投稿者プロフィール

中国生まれ、現在は日本の大学に留学している姚春鵬と申します。中国人留学生の視点から、日中関係についてのトピックをわかりやすく解説していきます!

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