戦後70年の祈り「安倍談話」とは

戦後70年に注目される安倍談話

そもそも政府発表の談話とはどういったものなのでしょうか。

政府発表の「談話」とは、歴史認識に対する内閣や国務大臣の見解を発表したものです。これらは見解を示したに過ぎないもので、「談話」のほとんどは、国会の審議を経ていないのみならず、それ自身何らかの法律的根拠を有しているものでもありません。つまり、法律的根拠を有していない以上、「談話」それ自身には何らの強制力も拘束力も存在しないということです。

あくまで現時点の内閣の歴史認識に対する考え方を発表したものですね。本日は安倍談話の概要と政界の反応に迫ります。

安倍談話(戦後70年談話)の本文

 8月は私たち日本人にしばし立ち止まることを求めます。今は遠い過去なのだとしても、過ぎ去った歴史に思いをいたすことを求めます。政治は歴史から未来への知恵を学ばなければなりません。

戦後70年という大きな節目にあたって、先の大戦への道のり、戦後の歩み、20世紀という時代を振り返り、その教訓の中から未来に向けて、世界の中で日本がどういう道を進むべきか、深く思索し構想すべきであると、私はそう考えました。

同時に、政治は歴史に謙虚でなければなりません。政治的、外交的な意図によって歴史が歪められるようなことが決してあってはならない。このとも私の強い信念であります。

ですから、談話の作成に当たっては20世紀構想懇談会を開いて、有識者の皆さまに率直、かつ徹底的なご議論をいただきました。それぞれの視座や考え方は当然ながら異なります。しかし、そうした有識者の皆さんが熱のこもった議論を積み重ねた結果、一定の認識を共有できた、私はこの提言を歴史の声として受け止めたいと思います。そしてこの提言の上に立って、歴史から教訓をくみ取り、今後の目指すべき道を展望したいと思います。

(中略)

21世紀構想懇談会の提言を歴史の声として受け止めたいと申し上げました。同時に私たちは歴史に対して謙虚でなければなりません。謙虚な姿勢とは、果たして聞き漏らした声がほかにもあるのではないかと、常に歴史を見つめ続ける態度であると考えます。

私はこれからも謙虚に歴史の声に耳を傾けながら、未来への知恵を学んでいく、そうした姿勢を持ち続けていきたいと考えています。

安倍談話の概要

全文は小泉談話や村山談話に比べて非常に長いですが、歴史的に日本が行った戦争に対する「反省」と「謝罪」が述べられています。

安倍談話の内容

冒頭、歴史の教訓の中から、未来への知恵を学ばなければならないとの言葉から始まり、西洋諸国の植民地支配に言及し、その危機感を原動力として日本近代化し、アジアで初の立憲国家となり、日露戦争における勝利がアジアやアフリカの人々を勇気づけたとの話から始まる。

その後、日本が先の大戦に突入したことについて、欧米によるブロック経済が日本を苦しめたことに言及し、外交的、経済的な行き詰まりを力の行使によって解決しようと試みた結果であり、こうした経過の中で日本が進むべき針路を誤り戦争への道を進んで行った、とした。

国内外で斃れた全ての人々へ哀悼の意を表明し、戦火を交えた国と戦場となった地域での犠牲や戦場の陰で深く名誉と尊厳を傷つけられた女性たちがいた事も忘れてはならないと言及した。

先の大戦への反省として「何の罪もない人々に計り知れない損害と苦痛を我が国が与えた事実」について言及。『侵略』はもう二度と用いてはならない、『植民地支配』から永遠に訣別しなければならないとし、先の大戦における行為について『痛切な反省』と『心からのお詫びの気持ち』を表明してきた歴代内閣の立場は今後も揺るぎないとした。

戦後に引揚者が日本再建の原動力になったことや、中国残留日本人が帰国したこと、アメリカ、イギリス、オランダ、オーストラリア各軍の捕虜が日本を訪れ、互いの戦死者を慰霊しているということを心に留め置かなければならないとした。

寛容な心によって戦後に日本が国際社会へ復帰できたとして、和解のために尽くしたすべての国と人々へ感謝の意を表明した。

これからの日本人については、「あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」としつつ、過去の歴史に真正面から向き合う必要はあるとした。

最後に、これから日本は「積極的平和主義」をとり、世界の平和と繁栄のために貢献していくとしている。

引用:Wikipedia(安倍内閣総理大臣談話)

この政府発表の「談話」というものは戦後50年、戦後60年などの節目で発表され、歴代の総理大臣によって発表されてきました。

戦後60年の小泉談話や、戦後50年の村山談話でも同じように戦争に対する「反省」と「謝罪」を述べる形をとっています。

安倍談話に対する反応


 

谷垣禎一(自由民主党幹事長)
「先の大戦での我が国の失敗の原因がどこにあり、戦後、その失敗を克服し、国際法の進化のもとでわが国が努力してきた成果を分析した上で、今後のわが国が取るべき方向性を示した、非常にバランスの取れた談話だ」

山口那津男(公明党代表)
「侵略や植民地支配、痛切な反省、心からのおわびなどのキーワードを使って歴代内閣の立場を引き継ぎ、それが今後も揺るぎないことを閣議決定したのは大きな意味がある。幅広い観点からバランスをとりながら、心を砕いて表明しており、中国や韓国にも談話の意味は伝わると思うし、政府にはこれを基に改善の努力を進めてほしい」

岡田克也(民主党代表)
「今回の談話は、今までの政治家、安倍晋三の歴史観とは明らかに異なるものだ。安倍総理大臣が大きく考え方を変えたのか。変えたということであれば内外の議論や指摘が影響を与えたということだろう。植民地支配、侵略、痛切な反省、心からのおわびといった表現はいずれも引用という形で述べているが、日本のことを言っているのか、一般論として言っているのか、定かではない。安倍総理大臣がどう考えているのかが伝わってこない」

柿沢未途(維新の党幹事長)
「バランスのとれた、『未来志向』だという安倍総理大臣の言葉にかなっている、評価できる内容だと思う。この談話が、安倍総理大臣の心の中からにじみ出た本心であって、これから、談話にのっとって、国政の運営と日本のかじ取りをしていくことが、本当に行動になって現れてくるのかどうかが、何よりも大事だと思う」

志位和夫(日本共産党委員長)
「反省とおわびについて、過去の歴代政権が表明してきたという事実に言及しただけで、自らの言葉として、反省とおわびを一切述べていないので、大変欺瞞的な内容だ。『村山談話』が示した、過去の歴史に対する日本政府の基本的な認識や価値を、事実上、投げ捨てるに等しいもので、国内外の厳しい批判は免れないと思う」

平沼赳夫(次世代の党党首)
「未来志向の内容は支持する。また、次の世代に謝罪を続ける宿命を背負わせてはならないと発言したことは評価する。しかし、戦争の反省は重要だが、おわびはもうやめるべきだ。おわびを繰り返しても、未来は切り開けない。現在、アジア・太平洋の平和を乱す動きがあることへの批判も入れるべきだったと考える」

吉田忠智(社会民主党党首)
「『侵略』と『おわび』の表現は盛り込まれているが、安倍総理大臣本人の言葉としては語られておらず、戦後50年の『村山談話』よりも大きく後退していると言わざるをえない。一方で、いわゆる従軍慰安婦について、直接的な言及は無かったが、女性の尊厳を傷つけたといった表現が入ったのはよかったと思う」

小沢一郎(生活の党代表)
「今まで日本は何度も謝罪してきたので、これ以上謝罪する必要はないと言わんばかりの文言だと思う。自分の本音を隠して取り繕おうという表現で、言葉の端々に戦前の日本を肯定するたぐいの表現が見られる。私には納得がいかない」


 

与党と野党で反応が分かれる結果となりました。

浮かび上がる疑問

小泉内閣、村山内閣に続き、「謝罪外交」に対する疑問の声もあがっています。しかし、謝罪の意を緩めれば中国・韓国などから批判を受け、歴代の総理の談話を継承して「謝罪」という形に落ち着くしかなかったのでしょうか。それとも現時点での安倍内閣の意向をそのまま表明したものなのでしょうか。線引きをしなければ今後10年、50年、100年経っても戦勝国が決めた”日本は悪い国”という認識に従わなければいけないかもしれませんね。

画像出典:http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NT0DGC6JIJV201.html

 

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朝舩颯哉

朝舩颯哉Vote→Japan 代表

投稿者プロフィール

「政治をもっと身近に!」Vote→Japanでは主に議員さんの取材のために九州を駆け回ってます。 堅苦しい政治ニュースをアツくわかりやすくお伝えしていきますね!

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